東京大学医学部附属病院 胃食道・乳腺内分泌外科
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当科を受診される方へ

 私共の胃・食道外科、乳腺・内分泌外科では、胃癌、食道癌を中心とした消化管疾患の診断・治療と、乳癌、甲状腺癌を中心とした乳腺・内分泌疾患の診断と治療を行っています。

 当科の前身は、胃カメラの開発を世界に先駆けて行った東大分院外科です。従ってその伝統を基礎に、精密な消化管内視鏡検査・超音波内視鏡検査とCT・MRI・PETなどの各種画像診断を行って正確な診断を行ない、患者様の病態に応じた適切な治療の選択と実践、すなわちテーラーメード診療を行っています。

 乳腺・内分泌疾患についても経験が豊富です。超音波検査・マンモグラフィー・CT・MRI・各種シンチグラフィーを駆使して、患者様の病態に応じた適切な治療の選択と実践を行っています。

 当科のモットーは「日本一治療成績がよく、日本一患者様に優しい外科」を目指しています。患者様とよくお話をしながら診断・治療を進めると同時に、術後も十分な治療・経過観察を行って、一致協力して治療成績の向上とQOLの向上を図っており、今後もより良くなるよう努力したいと思っています。

 以下に、当科で診断・治療を行っている主な疾患を挙げます。詳しいことがお知りになりたい場合は、ご遠慮なくご相談下さい。

食道

・食道癌
・逆流性食道炎
・食道裂孔ヘルニア

胃・十二指腸

・胃癌
・胃MALTリンパ腫
・胃GIST(胃粘膜下腫瘍)
・胃・十二指腸潰瘍

大腸

・大腸ポリープ
・大腸癌

乳腺

・乳癌
・乳腺腫瘤
・乳腺炎

甲状腺

・甲状腺癌
・甲状腺腫瘤
・バセドウ病

内分泌

・副甲状腺機能亢進症
・副腎腫瘍

診断・治療を行っている主な疾患についての説明

食道疾患の治療について

食道癌

 早期癌の場合は当院の消化器内科と共同で、内視鏡的粘膜切除(EMR : endoscopic mucosal resection)、あるいは内視鏡的切開・剥離法(ESD : endoscopic submucosal dissection)を行います。

 手術が必要と判断されるやや深めの表在癌、あるいは進行癌の場合は、胸腔鏡や腹腔鏡を使い患者様への負担を軽減しながら、食道切除および頸部・胸部・腹部の3つの領域にわたるリンパ節切除を行っております。

 高度に進行してしまっている場合は、当院の放射線科と協力して放射線治療、あるいは放射線と抗がん剤を使った放射線化学療法による治療を行っています。

 

逆流性食道炎

 最近は胃液の逆流に伴う逆流性食道炎(GERD : gastroesophageal reflux disease)が増加していますが、その程度を24時間pHモニター検査で検討し、手術の適応がある場合は腹腔鏡を用いた逆流防止手術を行っております。逆流性食道炎を長く放置しておくと食道にバレット(Barrett)腺癌のリスクが高くなるので、逆流の症状がある場合はご相談下さい。

 食道癌の外科的治療は。消化管の癌の外科的治療の中で最も難しく、また、大きな手術ですので、実績があり適切な治療が可能な施設での受診をお奨めします。当科はその期待に応えるべく日々努力と研鑽を積んでおります。

胃疾患の治療について

胃癌について

 胃癌の治療については、日本胃癌学会による胃癌治療のガイドラインに準拠して治療を行っています。すなわち、早期癌でリンパ節転移の可能性がない場合は、当院の消化器内科と協力して内視鏡的切除(EMRまたはESD )による治療を行います。内視鏡的治療の適応とならない早期癌の場合は、元々症状がほとんどない場合が大部分ですので、手術による負担を軽減し、さらにダンピング症候群や貧血、体重減少などの胃切除後の障害を可能な限り少なくする手術を行っております。すなわち、腹腔鏡下に適切な胃切除とリンパ節切除を行ない、胃切除後の再建術式に工夫を行ない、身体に優しい手術(minimally invasive surgery)と術後の生活の質(QOL : quality of life)の向上を図っています。

 進行癌の場合は、進行度のみならず癌の性格、すなわち、もし転移・再発をする可能性がある場合はどのような形で起こるのかを予測し、適切な胃切除と十分なリンパ節切除術に加えて、手術中および術後の抗がん剤による補助療法を行っています。

 

 手術後は、原則として術後3年目までは3ヶ月に1回の血液検査と、年1〜2回の腹部超音波検査、CT検査、年1回の内視鏡検査を行って経過を観察します。術後3年目以後は、基本的には6ヶ月毎に血液検査を行ない、適宜、内視鏡検査やCT検査を行っています。このようなフォローアップ・システムにより、術後の障害の診断と治療、再発や残胃の癌の早期発見、他の臓器の癌の早期発見に努めています。

GIST(消化管間質系腫瘍:gastrointestinal stromal tumor)

 最近では、CTやMRIなどの画像診断の進歩により、消化管の粘膜下腫瘍である消化管間質系腫瘍(GIST)が多く発見されるようになりました。このGISTは、大きさが小さい場合は問題がありませんが、大きくなってくると潰瘍を作って出血したり、時には悪性となって転移を起こすことがあり、適切な診断と治療が必要です。

 比較的小さな場合は、腹腔鏡を使って切除が可能で、腹腔鏡だけ、あるいは、小さな切開を加えて切除し負担の少ない手術を行っています。もし、転移がある場合は、多くの場合で新しい薬(商品名:グリーベック)有効ですので、これを使いながら治療を行っています。

 

胃瘻外来について

 当科では、脳血管障害や全身性の疾患で食べ物が口から摂取できない場合や、長期にわたって中心静脈栄養が必要な患者様の場合、胃瘻を造設しております。具体的には、内視鏡を使った胃瘻造設術(PEG : percutaneous endoscopic gastrotomy)や経食道胃瘻造設術(PTEG : percutaneous transesohpageal gastrotomy)を行っています。内視鏡が使えない場合は、手術的に胃瘻、あるいは小腸瘻造設術を行います。くわしくお知りになりたい場合は、当科外来の胃瘻外来を受診して下さい。

大腸・直腸疾患の治療について

大腸癌について

 早期癌あるいは大腸ポリープ(大腸腺腫)の場合は、消化器内科と協力して内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。 

 内視鏡的治療の対象とならない早期癌や多発の腺腫の場合は、患者様への負担を少なくする目的で、胃や食道の場合と同様に当科での得意分野である腹腔鏡を使った切除術を行います。

 進行癌の場合は、適切な大腸の切除と十分なリンパ節郭清を行うため、通常の開腹による手術を行っております。

 

乳腺疾患について

乳癌の治療について

 乳癌は最近急増しており、正確な診断と適切な治療が求められています。当科では、超音波検査、マンモグラフィー、CT(三次元CT)、MRI、穿刺細胞診、コア・ニードル生検、骨シンチグラフィーなどを駆使し、外科医、病理医、放射線科医、検査技師によるカンファランスを行ないながらより正確な診断を目指しています。そして、その診断に基づき、患者様との話し合いの中から乳房温存術、胸筋温存乳房切除術、化学療法、ホルモン療法、放射線治療を選択し、治療を行っています。とくに、患者様の同意に基づいてセンチネルノード検索を加味した手術を施行しています。

 

 乳癌はいわば息の長い疾患であり、患者様との長いお付き合いが大切と考えています。また、同じような病態であっても治療の選択の幅が広いことも特徴のひとつです。そこで、乳腺疾患のご相談を受け付ける目的で、近日中にセカンド・オピニオン外来を開設する予定です。

甲状腺・内分泌疾患について

甲状腺腫瘍の治療について

 日本は、欧米に比較して甲状腺疾患の多い国のひとつですが、このことは余り知られていません。また、特徴的な症状が少なく、癌であっても適切な治療を行えば極めて良好な成績が得られることもあり、潜在的な患者の数は多いにも関わらず甲状腺の病気についての認識は低いといえます。

 甲状腺の病気で外科的治療の対象となる主なものは、良性の甲状腺腺腫と機能亢進症であるバセドウ病、そして癌です。いずれも、超音波検査、シンチグラフィー、穿刺細胞診、CTなどで診断します。手術としては、甲状腺の部分切除、半切、亜全摘、全摘など、疾患に応じて切除の範囲が決まります。また、甲状腺の乳頭癌では頸部のリンパ節切除を行います。

 

副甲状腺機能亢進症の治療について

 われわれの身体の中の細胞の機能を調節する上でカルシウムはなくてはならない成分ですが、このカルシウムとそれと密接に関連するリンの代謝をつかさどっているのが副甲状腺です。通常は、甲状腺の裏側に左右2個ずつ、合計4個存在します。 副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺から分泌されるホルモンが過剰になった病態で、腎臓や尿管、膀胱などの尿路結石や、時には精神不安定を来すことがあります。多くの場 合は腺腫で、副甲状腺の1つから過剰にホルモンが産生されます。この場合は、腺腫を切除することで治癒します。しかし、時には過形成の場合があり、4つ全ての甲状腺が機能亢進状態であるためこれらを全て切除し、その一部を腕などの筋肉組織に移植して機能の温存を図ります。

 

副腎腫瘍の治療について

 副腎は、生体が恒常性を保つために様々なホルモンや生理活性物質を産生していますが、時に腫瘍が出来てそこから過剰なホルモンなどが産生され、様々な病気を引き起こすことがあります。代表的なものとしては、クッシング症候群、アルドステロン症、褐色細胞腫などがあり、肥満や高血圧の原因となります。治療は腫瘍の切除ですが、当科では腹腔鏡手術により切除しています。

 また、CTやMRIなどの画像診断が多くなされるようになったため、とくに症状はないけれども副腎に腫瘍を見つけることが多くなりました。これを偶然腫(incidentaloma)と呼びます。大きい場合やホルモンを産生している可能性がある場合は、手術の適応になります。これも腹腔鏡下手術で切除します。

 


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